系統用蓄電所は、電気を「ためて、出す」だけの設備に見えます。実際は、電力系統と電力市場のあいだで電気の流れを切り替える、小さな発電所のような施設です。まず全体を1枚の図で見ます。

蓄電所の全体像。黄色い矢印は電気の流れ(充電と放電で向きが逆になる)
電気の出入り口。送配電網(系統)とつながり、充電では電気を受け取り、放電では電気を送り返します。
系統側の高い電圧と設備側の電圧を変換します。系統接続の要になる設備で、接続検討の対象にもなります。
交流と直流を変換し、充放電の出力を制御する心臓部。市場の指令に応じて、瞬時に出力を変えます。
電池モジュールをラックに収めたコンテナが、電気をためる本体です。劣化と温度管理が寿命を左右します。
充放電のスケジュールと市場への応札を遠隔で運用する頭脳。アグリゲーターが担うことが多い役割です。

コンテナ内部。電池ラック、冷却装置、PCSが一体で動く
コンテナの中には、電池モジュールを積んだラックが並びます。電池は温度に弱いため、冷却ファンや空調で温度を一定に保ちます。ここが狂うと、劣化の進み方が変わります。
電気はPCSを通って出入りします。充電では系統の交流を直流に変えて電池へ、放電では直流を交流に戻して系統へ。蓄電所の「運転」は、この変換と出力制御の繰り返しです。
コンテナ単体では市場に参加できません。系統接続、PCSの制御、市場とのやり取りがそろって、はじめて「発電所」として動きます。
電気が安い時間帯に充電し、高い時間帯に放電する。その価格差が収益になります。太陽光の導入量や需給で価格差は日々変動します。
系統の周波数を保つための「調整力」を提供します。瞬時の出力変更ができる蓄電池の得意分野ですが、単価は制度変更で大きく動いてきました。
「いざという時に出せる容量」そのものへの対価。長期の固定収入が見込める一方、他の市場での収益の多くが還付される仕組みがあります。
“全体を図で見ると、設備の役割と電気の流れがつかみやすくなります。前提チェックも、この図の順番に設備を見ていくのがおすすめです。